AM2:00 ラーメン🍜サプライズ

深夜2時

私は10本以上の食テロ動画を見て悶えていた。

 

寝て起きれば、飯が食える。飯が食える。飯が食える。

 

そう言い聞かせつつも、「家で二郎系ラーメンを作る方法」という動画を永遠に見まくってしまう。「ハッピーセットの玩具を全部集めてみた」、「深夜のバター飯」という動画を永遠に見てしまうんだ!

 

24時間営業のマックを調べた。近所だと銀座か人形町東陽町か....歩いて1時間、往復2時間か。

ふと頭によぎったのは、「弁慶」

私と同じ大学に通う学生にお馴染みの弁慶は、二郎系ラーメンに近いスタミナラーメン屋だ。

 

やばい、弁慶のことを考え出すと手が震えてしまう。半年に1回だけ現れる症状。今行かないと永遠にこの手の震えは一生治まらない。

 

スマホ、イヤホン、鍵、財布を用意し、家を飛び出した。

心の中のナンバーはもちろん「深夜高速」

朝の4時まで弁慶が開いている世界に生まれて良かったと感謝しながら走り出した。

 

弁慶には、私が好きなチャー丼がなくなったという噂を聞いていた。

冒険せずにチャー丼を食べたい気持ち、スタミナラーメンに挑戦したい気持ちが拮抗して、いっそのことチャー丼がなくなっていればいいのにと思った。

きっとスタミナラーメンを食べるとチャー丼にすればよかったと後悔するだろう。

いっそのこと、スタミナラーメンしか選択肢がなければ、迷うことはなかったのに。

 

店内に入り券売機を見ると、チャー丼はあった。若干迷いつつも、答えは決まっていた。チャー丼を押した。

 

弁慶は深夜2時でも混んでおり、カウンターが2つだけ空いていた。迷いながら、1番キッチン側のカウンターに座り、満を持して飯テロ動画を見る。家で見る飯テロ動画より、余裕を持って見ることができた。

 

遂にそのときがきた。チャー丼と付け合わせのスープが配膳された。

チャー丼を口に運ぶ。美味い、美味すぎる。

弁慶は凄く美味しいラーメン屋さんではない。だけど、空腹と弁慶の組み合わせは最強なのだ。

 

こんなに魅力的なラーメンだ。私以外にも引き寄せられたものがいた。ゴキブリだった。

微かに予測はしていた。弁慶は汚い。100匹ほどいるだろうと思っていたが、まさか机の上に現れると思ってはいなかった。

私が小さな声で「どうしよ、どうしよ」と呟いていると、ラーメンを食べ終わったアンちゃんがゴキブリを処分してくれた。

本当に男前なアンちゃん。「ありがとうございます」以外の言葉が浮かばなかった。

アンちゃんに幸あれ!

 

そんなこんなで残りのチャー丼とスープを複雑な気持ちで啜り、カップの清潔さに信頼をおけなかったので、喉は渇いていたものの水を飲まずに店内を出た。

 

帰り際、私の好きな「ネクタージュース」が売っている自販機を見つけた。いつもなら、カロリーを気にして躊躇してしまう。こんな夜中にチャー丼を食べに行くんだから、ネクターくらい罪悪感を感じずに飲もう。

 

ラーメンとネクターを摂取し、帰宅した。

着ていたTENGATシャツは直ぐに洗濯にかけた。意外にも潔癖な私は、ゴキブリエキスを気にしてしまい部屋に上がれなかったのだ。

 

なんで年1のペースでマックに行きたくて、ラーメンを食べたすぎて、手が震える日が来るのだろう。

よく分かんないけど、今が1番胃が元気で、

これから先は美味しいものを美味しいと思えない日が来るだろう。

自分の心に素直になって、デブ生活を続けようと思った。